大久保嘉人がeスポーツの世界へ。取締役CINOとなった理由と目指すチームスタイルとは (3ページ目)
「サッカーの試合は常にファンに囲まれていて、試合に勝てばチームメイトだけでなく観客も一緒になって盛り上がってくれます。それを目の前で感じられるから『応援されている』と実感が持てると思うんです。だけどオンラインでプレーするゲームでは、たとえ試合に勝ってもその瞬間はチームメイトとしか喜べません。その点は大きく違いますね」
過去に行なわれていた大規模なオフラインeスポーツ大会には、大勢の観客が集まっていた。だが新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、現在ではYouTubeなどの動画配信サイトを通じて、生配信やアーカイブ動画にて観戦することが主流だ。
かつてのようにオフライン大会の機会が増えれば、選手たちもファンのありがたみを肌で感じることができる。選手にとってもファンにとっても、苦楽を共にすることは唯一無二の体験だという。
「ファンと共に一喜一憂し、応援されるようなチームを僕は目指していきたい。そのためにも世界で戦えるような強いチームを作りたい。見ていてワクワクするような。できれば攻撃的なチームがいいかな」
少年のような笑顔を浮かべながら、大久保は力強く宣言した。勝負の世界は厳しく、世界への壁は高い。チームワークのためには己を捨てる瞬間も訪れる。チーム競技の冷酷な一面を知りながらも、選手たちを信じて、あえて大久保は大きな夢を語った。
一方、大久保のゲーム歴はというと、子どもの頃はファミコンで遊ぶことが多く、母親によく叱られていたという。ただ、当時からゲームでも友だちと勝負することが好きだったそうだ。自身も親となった今、かつてよりもゲームは身近になり、親子でゲームを遊ぶ家庭も増え、プロゲーマーを目指す子どもも少なくない。
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