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大久保嘉人がeスポーツの世界へ。取締役CINOとなった理由と目指すチームスタイルとは (2ページ目)

  • 都合亮太●取材・文 text by Togo Ryota
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 とはいえ、業界を俯瞰すると異なる点が多いことも確かだ。業界としての歴史の長さは、その最たるもののひとつだろう。多くのeスポーツタイトルにおけるプロシーンの歴史はまだ浅く、大久保に匹敵するキャリアを持ったプロゲーマーはまだ存在しない。

「選手を続けるうえで一番大事なのは、自分を信じること」と、大久保は長いプロ生活を支えた信念を語る。

 18歳の頃に鮮やかなプロデビューを果たした大久保だが、当初は「そこまで自信がなかった」という。だからこそ、言われたことに従う場面が多かった。「こうしたほうがいい」と言われたことを素直に信じて行動していた。
eスポーツとサッカーの共通点を語る大久保嘉人eスポーツとサッカーの共通点を語る大久保嘉人この記事に関連する写真を見る だがそれを実践して上手くいかなかった時、責任を負うのは自分だけだった。誰かの言っていることに従っても、その「誰か」が責任を取ってくれることはほとんどない。次第に「自分で考えて自分で行動したほうがいいんじゃないか」と考えるようになった。

「自分で考えて失敗したほうが、モヤモヤを抱えずに切り替えられるんです」

 もちろん、最初から自分を信じるのは難しい。実践や成功体験を積み重ねなければ、本当の自信はついてこない。しかし競技の世界に正解はない。正しい方法は人によって違うし、常に変化していく。そういう世界だから、自分を信じたほうが納得できる。20歳の時、そのことに気がついた。

 信念を持ち、20年以上に渡ってプロ選手としてのキャリアを歩み続けた大久保が、まだ歴史の浅いeスポーツ業界に特別な価値をもたらすだろう。

 BC SWELLの選手について聞くと、大久保は繰り返し「eスポーツとサッカーはよく似ている」と強調した。しかし選手目線で、ひとつだけ大きく異なる点があるという。それは試合会場における観客の存在だ。

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