eスポーツの選手寿命は20代。その後はどうなる? チームオーナーに聞くゲーマーのキャリア (3ページ目)

  • 都合亮太●取材・文 text by Togo Ryota
  • 小沢朋範●撮影 photo by Ozawa Tomonori

甲山 「勝ちたい」だけじゃなくて「勝ってこうなりたいから、今これを頑張ります」って言える選手も増えてきましたね。運営からしても大切な存在ですし、間違いなく将来の選択肢も増えます。

西原 eスポーツ選手のセカンドキャリアでの花形はストリーマーですが、実際はストリーマーとして活躍できる人は非常に少ない。しかし他の選択肢はより現実的な可能性があります。たとえばうちのチームのマネージャーやディレクター陣は元プロ選手が多く在籍します。eスポーツ関連の専門学校なども、講師が足りていないと聞きます。実績を残したプレーヤーなら、セカンドキャリアを心配する必要はありません。

甲山 ゲームのテストプレーも、プロは重宝されていますよね。普通のプレーヤーだと思いつかないようなことをやりますし。

西原 開発期間が長いタイトルだと、企画段階から意見を求められることもあります。テストプレーが実際に仕事になっていて、興味深い分野ですよね。

――eスポーツチームとしても「チーム運営」以外のビジネスに挑戦する事例が増えてきました。おふたりが新たに挑戦したい分野はありますか?

西原 eスポーツ、つまりゲームを競技として見るカルチャーは、ゲームコミュニティのなかでは最も濃い部分だと思います。ZETAでも濃いタイトルに注力していますが、今後はよりライトな、たとえば「ゲームを見る」カルチャーも重視していきたいです。

 タレントやミュージシャンと一緒に取り組むなど、別のエンタメ分野とのクロスオーバーをしていきたいですね。ふだん交わらない人が一緒に楽しめる世界を目指していきたいです。

甲山 僕のミッションはeスポーツの産業化です。YouTuberに対する見方が大きく変わったように、eスポーツ選手に対する印象も変えていきたいですね。今、徐々にポジティブな認識が広まってきているので、この流れをどんどん推し進めていきたい。

 そのためにはeスポーツチームがビジネスとして成立していることを、あらゆる方面に発信していく必要があります。チームとしての露出を増やし、経済界にも積極的にアプローチしたい。REJECTが筑波大学との共同研究を始めたのも、スポーツ科学という切り口で発信したいと考えたからです。

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