【ハイキュー‼×SVリーグ】大阪マーヴェラス宮部愛芽世が追いかけ続ける姉・藍梨の背中 白鳥沢学園1年生に重ねる高校時代の葛藤
大阪マーヴェラス 宮部愛芽世
(連載39:大阪マーヴェラス志摩美古都を成長させた勝利と敗北 「この人みたいになりたい」『ハイキュー‼』キャラは?>>)
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「姉と比べられるのはコンプレックスだったと思います」
大阪マーヴェラスの宮部愛芽世(あめぜ/23歳)は、静かなトーンで告白した。3歳上の姉・藍梨(ヴィクトリーナ姫路)は常に先を行く存在で、愛芽世が大阪の金蘭会中学に進んだ時、藍梨は金蘭会高校の1年でエースだった。
「藍梨の妹なのに、なんで下手なの?」
心ない声も耳に入ってきた。
――なぜバレーを続けられたのか?
そう質問を投げた。
「自分にはバレーしかなかったからです」
実際に、宮部はバレーに打ち込み、アウトサイドヒッターとしてたくましく成長してきた。ナイジェリア人の父と日本人の母を持ち、身長は姉ほど高くないが(藍梨:181cm、愛芽世:173cm)、高い跳躍力は天賦の才。春高バレー連覇を経験し、姉を追うように日の丸も背負った。2022年には世界選手権で日本代表のチームメイトにもなった。
「姉の存在があって、(目標を)見つけやすかったんだろうなとは思っています」
パリ五輪に出場した姉の存在は、自身のバレーボール人生と切っても切り離せない。ただ、彼女のバレーボーラーとしての原型は自身で作り上げたものだ----。
宮部がバレーを始めるきっかけも姉だった。地元の小学生チームの人数が足りず、まず姉が出場した。その後、小学1年になった彼女も入部したが、バレーがそこまで好きだったわけではない。ほかに女子で活動しているスポーツチームがなく、「体を動かすのが好き」な少女は自然とコートに立っていた。
「強いチームではなくて、勝って楽しい、という感覚もなかったです。バレー、楽しかったのかな?」
宮部はおどけた表情を見せた。人生を大きく変えたのは、金蘭会中学時代だ。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。