【ハイキュー‼×SVリーグ】岡山シーガルズ金田修佳が、古賀紗理那を見て感じた自分の「平凡」さ「だから下を向いている暇はない」
岡山シーガルズ 金田修佳
(連載22:ジェイテクト岩本大吾が挑む「勝ち負け」の世界 ハイキュー‼のあるキャプテンに「勇気づけられる」>>)
「平凡な俺よ、下を向いている暇はあるのか」
岡山シーガルズの金田修佳(28歳)は、人気漫画『ハイキュー!!』に出てくる烏野高校の田中龍之介のセリフが、たまらなく好きだという。自分自身に浴びせられた言葉のようにも思えるというのだ。
「(古賀)紗理那って、本当にすごいんですよ!」
金田は興奮気味に言う。同い年に古賀紗理那というスーパースターがいた。
「紗理那は考え方からフィジカルまで、中学の時から頭3つ、4つくらい抜けていました。彼女に比べたら、私なんて平凡なんですよ(笑)。私がどれだけスパイクを多く決めて、サーブレシーブを返せても、『紗理那だったらもっとできる』となる。だから慢心できないし、できないからといって下を向いている暇はないんです」
金田はそう言って、涼やかに笑った。
バレーボールを始めたのは7歳。母親がママさんバレーをしていたが、特別なきっかけはなかった。
「なんとなく、『バレーをするんだろうな』と思いながら育ちました。バレーの何かに惹かれたとか、衝撃的な何かがあった、というのはなくて。ご飯食べる、というのと同じくらい自然にバレーをやっていました」
小学生の時は練習量も多かった。そこで、「絶対に負けない」という不屈の精神を培ったという。しかし、中学では量より質が問われ、当初は戸惑った。
「中学では、"理解して考える心"のバレーが大切でした。考えながらバレーをするのが新しくて、難しかった。周りがバレーを理解してうまくなっていく姿を見ながら、悩みましたね。そこで、プレーに向き合う時間が多くなりました」
彼女はさらにこう続ける。
「中学3年生になる直前でメンバーを外された時、代わりに入っていた後輩がミスをしても、私が出させてもらえなかったことがあって。そこで私は『これは自分への優しさなんじゃないか』と感じたんです。『自分に足りていないものを自覚させるためだ』と。それからはスパイクも、レシーブも吸収しやすくなりました」
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。