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古賀紗理那が伝えた「選手の一番の仕事」 日本女子バレー界で待たれる新たな絶対的エース台頭には何が必要か (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

「リベロは、ちょっとした"手助け"の積み重ねだと思います。あまり目立たなくても、"そこの一本がなかったら、この点数がとれない"というプレーが大事で」

 ゲームMVPに選ばれた岩澤は一番小柄だったが、開幕戦で最も大きな存在を示した。

【絶対的エースはいかにして生まれるのか】

"ポスト古賀"が出てくるか――。

 それは、たとえば岩澤のように台頭したリベロを崩し、チームを勝利に導けることがひとつの条件と言えるかもしれない。そして優れた守備者を、優れた攻撃者が叩きのめす。守備者はさらに研鑽を積み、やり返す。その切磋琢磨の関係性からしか、絶対的エースは生まれない。

 誇張ではなく、古賀はひとりの選手として英雄的だった。キャリア晩年だけを見ても、NECを連覇に導き、日本代表にパリ五輪出場をもたらし、冒頭で言う「責任」を果たした。積み重ねた勝利によって、彼女は女王だったのである。

 もちろん、彼女も一朝一夕で"古賀紗理那"になったわけではない。

 今の日本女子バレーはまさに戦国時代で、その中で誰が"ポスト古賀"となるか。その点、誰にでもチャンスはあるが、メディアが作ったスターは脆い。バレー人生を懸けた者同士の淘汰のなかでこそ、ひときわ輝く選手が生まれるはずだ。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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