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古賀紗理那が伝えた「選手の一番の仕事」 日本女子バレー界で待たれる新たな絶対的エース台頭には何が必要か (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【女王を退けた埼玉上尾の守備】

 10月12日、とどろきアリーナ。前日の男子に続いて、女子のSVリーグ、2024-25シーズンが開幕した。昨シーズン優勝のNEC川崎が、「対抗馬」のひとつと目される埼玉上尾メディックスと対決。会場はほぼ満員で、熱気に満ちていた。

 結果は、埼玉上尾が勝負所で強さを見せ、女王NEC川崎を0-3で下している。

「夏場から取り組んできたことが出た試合」(埼玉上尾、岩崎こよみ)

 その言葉どおり、準備の差、完成度の差で上回ったのか、24-26、23-25、22-25と僅差の勝負に強かった。

 NEC川崎は古賀が引退。守りの要だったリベロの小島満菜美も移籍し、パリ五輪代表の和田由紀子、山田二千華の2人がまだコンディション不十分で出場機会がなかった。オポジットのダ・シルバはパワフルなスパイクで最多16得点を叩き出したが......。

 一方、埼玉上尾は粘り強く戦う構造ができていた。NEC川崎の強力なサーブを堅実にレシーブし、丹念につなぎ、濱松明日香のブロックも効いていて、黒後愛、佐藤優花、目黒安希が得点を重ねた。ディフェンスから戦いを安定させていた。

 その点、勝利の立役者はリベロである岩澤実育と言えるだろう。ダ・シルバの強烈なスパイクを見事に拾った。準備動作に優れ、必ず先んじてボールの軌道に入っていた。

「岩澤のところに打っちゃいかん!」

 NEC川崎のファンの悲鳴が聞こえたほどだ。

 岩澤は派手なディグだけでなく、ブロックフォローも怠っていなかったし、アンダーでトスも上げていた。

「リベロが頑張って拾うと、スパイカーの選手たちも"どうにかして決めたい"ってなってくれると思うんです。"次は自分たちの番だ"って、思い切って(腕を)振ってくれたら。バレーは、そのつながりがいいなって思います」

 そう語る岩澤は、この日もギリギリのボールに何度も身を捨てて飛び込んでいた。3セット目、18-20の場面ではコートの外の柵に激突しながら、必死にカバー。結局、得点につながらなかったが、それを境にチームは奮起したように得点を重ねていった。

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