パリオリンピック男子バレー 髙橋藍の覚悟「ギアを上げていく」「1点も逃さない」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【「さらにいいバレーができるはず」】

 ともあれ、髙橋はバレーボール選手として適応し、何者かに変わりたがっている。

「バレーボールを夢のあるスポーツにしていきたいって思っています。今までになかったオンリーワンの選手。バレーボールを知らない人にもバレーを伝えられるように」

 それは控えめに言っても大志だ。そのプロセスに、オリンピックの金メダルがあるのだろう。

「(1セット取れば予選突破は確実だったが)僕はアメリカに勝つつもりで挑みました。アメリカに勝たない限り、目標としている金メダルは難しいと思っていたので。勝つ意識で強く臨んで、結果として勝てなかった部分では、反省するというか、改善する、ギアを上げていく、というのが必要ですね。次からは負けられない戦いが続くので」

 アメリカ戦の間も、彼は局面で上回るために工夫を凝らしていた。大袈裟に言えば、その積み重ねが今の「髙橋藍」を作った。それが新たな「髙橋藍」にもつながる。

「チームの軸としてエースを取ったり、得点を取るべき場面で取れていたのはよかったんですけど、準々決勝からは、もっとギアを上げ、改善しないといけない部分が多くて。ハイボールやCパスで割れたシチュエーションでは、相手も自分が得意な(スパイク)コースを対策してくるので、冷静にブロックを見て、リバウンド、ブロックアウトを取って......というバレーをしないと。出だしをスムーズに行きたいからと言って力が入ってしまうと、高さのある選手にブロックを食らう。そこは冷静に対応しないといけない」

 一方で、手応えも感じていた。

「(サーブは)ショートサーブもそうですが、相手を崩すところではいい形が出せていました。日本はいいディフェンスを持っているので、サーブ&ブロックだと思っていて。自分自身のサーブはいい形を保っているので、日本のディフェンスとマッチしてくると、ほかに西田選手、石川選手、ミドル(ブロッカー)の選手もいいサーブ持っているだけに、さらにいいバレーができるはずです」

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