髙橋藍が振り返るパリ五輪予選でのピンチ 石川祐希が不調も「万全になるまで自分たちが頑張らないと」 (3ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

【まさかの苦戦から始まったW杯の裏側】

昨年のW杯も攻守で活躍した photo by 小田部剛昨年のW杯も攻守で活躍した photo by 小田部剛この記事に関連する写真を見る

――ここからは、あらためて昨年のW杯(パリ五輪予選)についてうかがえたらと思います。第1戦はフィンランド相手にフルセットの末に辛勝。第2戦のエジプトには同じくフルセットになり、競り負けました。石川選手がまだ本調子ではなかったようにも感じましたが、格下と見られていた相手にまさかの展開となりましたね。

髙橋 僕は石川選手のコンディションがそこまで悪いとは感じていませんでしたが、石川選手でも攻撃が乗り切れない時はある。だから、「万全になるまで自分たちが頑張らないといけない」と思っていました。石川選手のことは、チームも、セッターの関田誠大選手も頼りにしていて、これまでも最終的に勝負がかかった場面で決めてくれてきたことは、全員がよく知っています。W杯でもどんどん調子を上げていって、本当に勝負どころで決めきってくれました。

 どんな大会でも入りは難しいですから、「フィンランド戦、エジプト戦もすんなりとはいかないだろう」という気持ちで準備をしていました。フィンランド戦では、最終セットで石川選手の代わりに入った(大塚)達宣さんが、落ち着いてサーブレシーブを返して、スパイクも決めたことで流れがグッとこっちにきた。達宣さんは、ああいう時の肝の据わり方がすごいですね。

 初戦に負けていたら、その後どうなっていたか想像もつきません。立て直せたかもしれないけど、そのまま総崩れしてしまったかもしれない。あの時の、達宣さんの貢献度はものすごく高かったと思います。

――髙橋選手の心情は、いかがでしたか?

髙橋 僕は、託されたボールを決めきる、チームを勝たせるのみだと思っていました。石川選手のように頼られる選手、チームの軸として認識してもらえるように。そこはブレなかったです。

――1、2戦目の苦戦に、チーム内ではどんな雰囲気でしたか。

髙橋 1試合目がすごくタフな試合になって、「次の試合で切り替えよう!」と思っていたのに、次のエジプトに負けてしまった。チーム内の雰囲気は、いいとは言えませんでしたね。でも、いつまでも負けたことを考えてもしょうがない。「このあとの試合を全部勝てばいいだけだし、ここから勝てるか勝てないかが自分たちの今の力だ」と切り替えました。

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