髙橋藍が振り返るパリ五輪予選でのピンチ 石川祐希が不調も「万全になるまで自分たちが頑張らないと」 (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari

――今年2月に行なわれた欧州の「CEVチャレンジカップ」決勝で、髙橋選手は体の状態が万全ではなくベンチスタート。2セットを取られた時点で相手のワルシャワの優勝が決まりました。第2セットは開始から立て続けにサーブで崩されてしまいましたが、髙橋選手はジャージを脱いでコートサイドに近づくなど、試合に出たい気持ちが表に出ていました。

髙橋 そうでしたね。「なんとか状況を変えたい、変えられるはず!」とウズウズしていました(笑)。

――結局は、大きく点差が離れてからコートへ。それは、監督がプレーオフのことを見越してのことなのかとも思ったのですが、髙橋選手はどう感じていましたか?

髙橋 監督やチームに対して、僕は「プレーオフに照準を合わせたい」と話していましたし、CEVカップ決勝の時は足首の状態も完璧ではなかったので、監督も起用にためらいがあったと思います。僕としては、試合の中で実戦感覚を取り戻さないといけない部分もありましたが、コートに立つならそのセットを取りきる気持ちでいましたし、点数が離れていても全然あきらめてはいませんでした。

――コートに入ってすぐ、きれいにAパスを返してサイドアウトを取っていたのが、とても印象に残っています。あそこで試合勘は取り戻せましたか?

髙橋 そうですね。しっかりと、足首の感覚を確かめながら調整していこうと。あまりプレッシャーがかからない場面でそれを経験できたことが、その後のプレーオフにつながったと思います。

――プレーオフはホーム&アウェーで3試合を勝ったほうが勝ち上がるシステムで、最大で5試合を戦うことになります。準々決勝はルーベ、準決勝はトレンティーノと、どちらもセリエAの"ビッグ4"に数えられる強豪を相手に5試合を戦って決勝への道を切り拓いたことは、貴重な経験になりましたね。

髙橋 まず、準々決勝のルーベに2試合先制できたことが、すごい経験でした。ただ、それで気持ちが緩んだわけではないのですが、チーム全員に「1試合くらいなら負けても......」という気持ちがまったくなかったかというと、そうではなかったと思います。実際にその後、逆に2試合をルーベに取られてイーブンな状態になってしまった。そこはすごく甘かったなと反省しています。

 3試合を勝ちきることの難しさを感じましたが、そこから気持ちを切り替えて、最後の5戦目で勝てたことは、「自分たちが強かったんだ」という自信になりました。

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