栗原恵は春高バレーに出場した大友愛の娘を見て「末恐ろしい」。準優勝した母校のエース、世界基準の留学生についても語った (5ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 上村選手は、身長はそこまで高くないのにパワフルなスパイクで得点を重ねていました。春高の準決勝、誠英戦ではマークがきつく、チームにケガ人が多かったこともあって苦しい試合だったと思います。でも、彼女は常に笑顔だった。試合後は負けた悔しさもあったでしょうが、誠英の北窓選手に「私たちの分まで勝ちきってください」と伝えたと聞いて、彼女は来年、さらにすごい選手になって帰ってくるだろうと感じました。

 一緒に奮闘していた徳本選手のディフェンスもすごかった。リベロは直接得点をとることができないので、ついアタッカーに目がいきがちですが、彼女のプレーは目を引きました。堅実なレシーブをはじめとした、すごいプレーを派手に見せないうまさがあった。元日本代表で、私も一緒にプレーした佐野優子さんを彷彿とさせるようなプレーがたくさんありました。「頼りになる」とはこういうことだと思いましたし、彼女も体の大きさ以上に存在感があった選手です。

――共栄学園(東京)の1年生で、ロンドン五輪銅メダリストの大友愛さんの長女としても話題になった、秋本美空選手(183cm)のプレーはいかがでしたか?

栗原:思わず「あっ、愛さんだ」となるくらい、すごくフォームが似ていましたね(笑)。恵まれた体格を生かした、遠心力があるスパイクにはキレがありました。まだ1年生ということが信じられないほど堂々とプレーしていて、末恐ろしい選手です。

 愛さんの娘ということもあって、彼女のプレーにはみんなが注目していましたが、そういうプレッシャーをうまく力に変えて大きく成長していってほしい。ひとりのバレーファンとしても将来が楽しみですし、応援しています。

(後編:「眞鍋ジャパン」のアタッカー陣を評価。右手手術を乗り越えたセッター籾井あきも「またチャンスがある」>>)

【プロフィール】

栗原恵(くりはら・めぐみ)

1984年7月31日生まれ、広島県出身。小学4年からバレーボールを始め、三田尻女子高校(現・誠英高校)では1年時のインターハイ・国体・春高バレー、2年時のインターハイ優勝に貢献。高校1年時に日本代表に初選出され、翌2002年に代表デビュー。2004年のアテネ五輪、2008年の北京五輪に出場した。2010年の世界バレーでは、32年ぶりに銅メダルを獲得した。その後、ロシアリーグに挑戦したのち、岡山シーガルズ、日立リヴァーレ、JTマーヴェラスでプレー。2019年6月に現役引退を発表した。引退後はバレーの試合での解説をはじめ、タレント活動など幅広く活躍している。

【著者プロフィール】
中西美雁(なかにし・みかり)

名古屋大学大学院法学研究科修了後、フリーの編集ライターに。1997年よりバレーボールの取材活動を開始し、専門誌やスポーツ誌に寄稿。現在はweb Sportiva、バレーボールマガジンなどで執筆活動を行なっている。『バレーボールスピリット』(そしえて)、『バレーボールダイジェスト』(日本スポーツ企画出版)、『球萌え。』(マガジンハウス)、『全日本女子バレーコンプリートガイド』(JTBパブリッシング)などを企画編集。スポルティーバで西田有志の連載を担当

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