栗原恵は春高バレーに出場した大友愛の娘を見て「末恐ろしい」。準優勝した母校のエース、世界基準の留学生についても語った (2ページ目)

  • 中西美雁●取材・文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

――栗原さん自身は高校時代、まだ3月開催(2011年から1月開催)で2年生までしか出られなかった2001、02年に春高でプレーしました。1年生時にはインターハイ・国体・春高バレーで高校3冠を達成しています。

栗原:当時は"1年生でエース"という重い役割を担っていましたが、先輩たちの力が大きくて、私は思いきりプレーをさせてもらっていたんだなと思いましたね。その春高の準決勝の相手も古川学園で、試合後に泣いてしまうほどの激闘になりました。それ以外も、1試合1試合にドラマがあった大会でした。

――翌年の春高は、大山加奈さんを擁する成徳学園(東京/現・下北沢成徳)に敗れたものの、2年連続で決勝まで進みましたね。

栗原:ただ、3年生が抜けた新チームは、1年生からレギュラーだったのが私しかいなかったこともあって「初戦で負ける」と言われ続けていました。合宿でも不安で眠れないぐらい重圧を感じて、大会前にはチームが分裂しそうなケンカも......。何とか立て直して臨んだ春高の1回戦で第1セットを取られた時には、「私たちはここで終わるんだな」という雰囲気にもなって。でも、そこから徐々に歯車がかみ合ってきて勝つことができ、それ以降は一試合ごとに違うヒロインが出るくらい、チーム全体で得点を重ねられるようになっていきました。

 今年の誠英を見ていても思いましたが、春高は短期間で選手が大きく成長します。自信なさげだった子が、何気ない言葉をかけられたあとの試合で、ピンチの時に点数をとってくれたり。春高は高校生にとって、本当に大きな大会だと思います。

――今回の優勝校で、大会前に取材したという古川学園の印象はいかがでしたか?

栗原:今年の春高を見た人のなかには、「あんなに大きい留学生(タピア・アロンドラ/3年/196cm/ドミニカ共和国)がいたら勝って当然」と思った方もいたかもしれませんが、ワンマンチームでは勝てません。取材で話をしたタピア選手はすごく謙虚で、「自分が活躍して、チームも優勝してみんなを笑顔にしたい」という目標を持っていました。彼女がいることでチーム全体のコミュニケーション力も上がっているでしょうし、タピア選手が、3年間であんなに上手に日本語でコミュニケーションが取れていることに驚きました。

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