石川真佑がルーキーの定石を覆す活躍。W杯では逆境での起用に応えた (3ページ目)

  • 高井みわ●取材・文 text by Takai Miwa
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 同年4月に日本代表に初登録されたが、ジュニアカテゴリー(U20)にも選ばれた石川はジュニアを主軸に活動をスタートした。同年7月にメキシコで開催されたU20世界選手権大会では主将としてチームを牽引し、全勝で初優勝。MVPを獲得した。

 続いて、同年8月に開催されたアジア選手権大会のメンバー(日本代表Bチーム)にも名を連ねた。日本はフル代表の韓国に勝つなどして優勝し、石川はこの大会でもMVPを獲得。この2大会での活躍が評価され、急遽W杯のメンバーに招集された。中田久美監督はその理由を、「映像でプレーを見て、これは起用すべきなんじゃないかと思った」と話した。

 前述のとおり、石川は新人らしからぬ厳しい試合での起用が多かったが、逆境で存分に力を発揮した。フルセットで敗れたロシア戦で20得点、スタメン起用されたものの1-3で敗れた韓国戦でチーム最多の17得点、同じくスタメンで起用され、フルセットで敗れたアメリカ戦でもチーム最多の23得点をマーク。ストレートで敗れたブラジル戦では第2セット途中からの起用で、レフトからもバックセンターからも得点し、試合の流れを変える役割を果たした。

 石川の魅力は、ストレート、クロスと巧みにスパイクを打ち分けられること。ブロックアウトや、ブロックの間を抜いて打つ技術にも長けている。身長は173cmと女子選手の中でも小柄だが、筋力トレーニングに力を入れている下北沢成徳高出身だけにパワーもある。守備に関してはまだ向上の余地があるものの、韓国戦では大エース、キム・ヨンギョンのスパイクをディグ(スパイクレシーブ)で上げる場面も見られた。

 W杯での鮮烈デビューから、来年開催予定の東京五輪に向けてどんな成長を遂げるのか。兄の祐希と同じように、日本代表の絶対的な存在として大舞台で活躍する姿を見てみたいものだ。

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