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30歳の「ルーキー」。全日本バレーの
お祭り男、高松卓矢が急成長中だ (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 浦川一憲●写真 photo by Urakawa Ikken

「昨年、全日本に呼んでもらったときも、調子が上がってきていることは感じていました。それでも、出場機会をいただけないままアウト。今だから言えるんですけど、遠征先から帰国して自分の部屋に戻ったときには悔しくて泣きました。自分ではパフォーマンス出し切ったつもりだったけど、『監督たちには届かなかったんだなぁ』と。

 そのころは年齢ことをネガティブに考えていたので、30歳を迎える自分が、足りないものを補えるほどパフォーマンスを向上させられるとは思えませんでした。全日本でプレーすることが夢だった分、喪失感も大きかったです。モチベーションが一気になくなり、バレーボールを続ける気持ちがなかなか湧いてきませんでした」

 全日本男子の世代交代が進み、身長2m以上の大型選手が積極的に起用されるようになっていたことも、高松を追いつめた。引退も考え、バレーボールに向き合うことができずにいた高松は、豊田合成のアンディッシュ・クリスティアンソン前監督(現シニアコーチ)に今後について相談する。すると「だったら一旦落ちつけばいい。自分の気持ちが落ちつくまで考えてみて、そこからまたスタートすればいいじゃないか」という言葉が返ってきた。

 救いの手が差し伸べられたところに、豊田合成の新指揮官としてトミー・ティリカイネン監督が就任。アンディッシュ前監督とは違うバレーボールの理念や信念に触れたことが、新しい刺激になった。同時に、フィジカルコーチとしてドラガン・ルジッチ氏を迎えたことで、高松は「どんなトレーニングをするんだろう。とりあえず引退はその後だ」と考え直すことになる。

「でも最初は、ドラガンとは考え方が合わなかったんです。僕はスパイクの練習を早い時期からしたかったんですけど、彼はそれをさせてくれなかった。周囲も巻き込んで大ゲンカしたんですけど、彼は最後まで譲りませんでした(笑)。でも結果的には、ドラガンのトレーニングが正しく、おかげでいいシーズンを送ることができたんです」

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