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30歳の「ルーキー」。全日本バレーの
お祭り男、高松卓矢が急成長中だ (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 浦川一憲●写真 photo by Urakawa Ikken

 高松は昨年のVリーグから、豊田合成の戦略のひとつとしてレフトからのバックアタックやパイプ(センターからのバックアタック)を打つようになった。ベテランになってから新しい攻撃を習得するのは難しいように思えるが、「僕は大変だと思ったことはないです」と笑顔を見せる。

「クイックを打つとなったら戸惑うかもしれないですけど、トスがネットから離れているだけの話ですからね。最初は『レフトからもバックアタックを打つのか』と思いましたが、打ってみたら効果が高くて、『なかなかいい攻撃だな』と。そうして戦った昨シーズンが、僕にとってはVリーグ8年目にして一番いいシーズンだったと感じるし、実際に数字もよかった。

 今は年齢に関する質問をされることが多いですけど、そこは選手の成長に関係ないと思えるようになりました。37歳のイゴールはよく『Age is just a number(年齢はただの数字にすぎない)』という言葉を口にするんですが、僕もそれを実感しています」

 男子バレーの世界では、30歳前後から引退する選手が増えてくるため、そのあたりから力が落ちてくるというイメージを持たれてしまうことも多い。それに異を唱える高松は、自らの活躍によって雑音を振り払って見せた。

「もちろん、若いときみたいにオフになったら好きなように行動することはなくなりました。体のケアをしたり疲労回復にあてたりして、食事にも気を使うようになった。その結果がしっかり出てきているので、『30歳を過ぎたから』という言い訳は使いたくない。コンディションは問題なくパフォーマンスも上がっていて、全日本にもまた招集してもらえましたからね」

 全日本に登録されるのは今年が4度目になる。しかし、2度目まではチーム発足時に写真を撮られただけ。3度目となる昨年は、初めて合宿に呼ばれて海外遠征にも参加したが、中垣内監督が合流する前にメンバーから外された。

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