錦織圭は伊藤竜馬のうつ病を察して「大丈夫?」 引退を伝えた時にも聞いた心優しい言葉 (3ページ目)
【ケガさえ治ればトップ50に行ける】
伊藤さんが去ったトッププロたちのテニスコートで、今も錦織はボールを追い、自分よりもはるかに若い選手たちと打ち合っている。
そんな錦織の姿は、伊藤さんの目にどのように映っているだろうか?
「もう単純に、めっちゃテニスが好きというのは、伝わってきますよね」
伊藤さんが、しみじみと言う。
「それに、やっぱりテニスを見ていたら、ちゃんとケガさえ治れば、圭はトップ50には行ける力はあると思いました。たぶん、それは本人も感じていると思うんですね。だからこそ、挑戦したいんじゃないでしょうか。お金や名誉のためではない。純粋にテニスが好きという思いと、何かを残したいという気持ちもあるように感じます」
豪放磊落なプレースタイルで名を馳せた伊藤さんもまた、他者の気持ちに寄り添う繊細な人としても知られる。
その伊藤さんが、錦織の想いを探るように言った。
「強い選手と対戦している時の圭は、本当にイキイキとしている。テニスが楽しいんだろうなと感じます。だから、その舞台でもう一度、試合をしたいという強い思いがあるんじゃないのかな」
本人に聞いたわけではないので、想像するしかないですけどね──。柔らかな表情で、伊藤さんはそう言った。
(つづく)
◆喜多文明の視点(1)>>
【profile】
伊藤竜馬(いとう・たつま)
1988年5月18日生まれ、三重県員弁郡北勢町(現・いなべ市)出身。9歳からテニスを始め、大阪・長尾谷高時代は数々の国内ジュニアタイトルを制し、2006年にプロ転向を表明する。2008年からATPツアー参戦を開始し、2011年の全米オープンにてグランドスラム初出場。2012年のロンドンオリンピック日本代表に選出される。2024年4月に現役引退を発表し、10月でラストマッチを終える。ATPランキング最高60位。ATPチャレンジャー通算7勝。身長180cm。
著者プロフィール
内田 暁 (うちだ・あかつき)
編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。2008年頃からテニスを追いはじめ、年の半分ほどは海外取材。著書に『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)、『勝てる脳、負ける脳』(集英社)など。
【写真】日本女子テニス「6人のティーンエイジャー」フォトギャラリー
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