検索

錦織圭は伊藤竜馬のうつ病を察して「大丈夫?」 引退を伝えた時にも聞いた心優しい言葉 (2ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Akatsuki Uchida

【引退を告げると「オレだけか...」】

「最初はLINEで連絡しました。『今年、あと何大会か出て選手生活を終えます』みたいに。圭からの最初のリアクションは、『えー、まじか』でした。『じゃあもう、オレだけか......』みたいな感じで、ショックだとは言っていましたね」

 錦織にとって、グランドスラムなどの大舞台で戦ってきた同世代の日本人選手たちは、「同志」とも呼べる存在だったろう。

 そのなかからまず、5歳年長の添田豪が2023年に引退した。時を前後して、1歳年長の杉田祐一も「今季限りの引退」を表明。その発表が公(おおやけ)になった時、錦織は伊藤さんに「たっちゃんは、まだ辞めないよね?」の一文を送ってきたという。

 女子でも、2022年に奈良くるみが現役を離れ、2023年には土居美咲もキャリアに終止符を打った。その度に錦織は、「寂しい」と去り行く盟友に伝えてきたという。「オレだけか......」のひと言に込められたのは、ひとつの時代が終わりに近づくことへの寂寥感だろう。

 伊藤さんが、錦織が覚える寂しさに共感するのは、自身も仲間の引退を聞くたびに、同じ思いを抱いてきたから。そして「仲間」の存在の大きさを、誰よりも実感してきたからだ。

「やっぱり同世代がいることは、僕ももちろんそうでしたし、圭にとってもよかったんだろうなと思いますね。現役で一緒にやれる仲間がいる。一緒にご飯を食べに行ったり、空き時間で遊んだりできる人がいるのは、大きかったです。

 僕はビデオゲームはやらないんですが、圭たちと一緒にアトラクションの『脱出ゲーム』みたいのに行ったことがあります。ひとりだけじゃないって思えるのは、すごく力になっていました」

 そのように苦楽をともにした仲間も、時の流れに伴い、異なる道を歩み始める。LINEで引退の意志を伝えたあと、伊藤さんは錦織に直接会う機会もあった。その時の錦織は、「お疲れさま。よくがんばったよね」との言葉をかけてくれたという。

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る