大坂なおみは「2年前のレベルに戻れたとしても、同じ結果が得られるとは限らない」海外ジャーナリストは復帰戦をどう見たか (3ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki

【16本ものエースを決められて逆転負けした要因】

 そのうえでマイルズ氏は、2時間14分の熱戦となった2回戦の対カロリナ・プリスコバ(チェコ/31歳)戦を、「大坂はフィジカル的に、よく持ちこたえていた」と見る。

 結果的に6-3、6-7、4-6の逆転負けを喫した要因は、体力ではなく、試合勘だろう。この試合での大坂は12度のブレークチャンスのうち、2回しかモノにできなかった。

 大坂本人も「ブレークチャンスが勝敗を分けた」と認めたうえで、16本のエースを決められた理由を、次のように述懐もしている。

「試合前に、彼女(プリスコバ)のサーブの傾向......特に重要な局面でどこに打ってくるかのデータは頭に入れていた。ただ、今日の試合では、彼女はデータと異なるプレーをしてきた」と。

 そう......対戦相手は大坂を、決して甘くは見ていない。むしろ、休養明けの選手に負けるわけにはいかないと、一層の警戒心と闘志を持って挑んでくるだろう。そしてその点こそが、「興味深い点」だとマイルズ氏は言う。

「大坂には、再びトップレベルに戻るポテンシャルが十分にある。ただ、仮に彼女のテニスが2年前のレベルに戻れたとしても、同じ結果が得られるとは限りません。

 彼女は元の状態に戻ろうと努力を重ねているでしょうが、一方で、ほかの女子選手たちは大坂がコートを離れていたその間も、いい選手になるために多くの時間を費やしてきました。ですから、大坂が以前にいた場所に戻るためには、彼女はよりよい選手になる必要がある。そのことを、彼女はこれから学んでいくことでしょう」

 たしかに大坂がコートを離れていた1年4カ月の間にも、女子テニスの勢力図はジリジリと書き換えられてきた。

 屈強なフィジカルを誇る一方で精神面のもろさが指摘されてきたアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ/25歳)は、昨年の全豪オープン優勝を機にひと皮むけた感がある。

 さらには、15歳の頃から"次代の旗手"と目され重圧にも苦しんできたココ・ガウフ(アメリカ/19歳)が、昨年の全米オープンでついにグランドスラムタイトルを掴み取った。

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