リハビリ中の錦織圭が沖縄に突如現れた。「マリーになる寸前だった」というケガの回復具合を聞いた (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

錦織が描く「復帰のプラン」

 最終的に手術に踏み切ったのは、「2カ月やって、もう痛みに耐えられなかった」のが実情。果たして、内視鏡を入れて見たところ、「マリーみたいになる寸前だった」と打ち明けた。

 錦織の言う「マリーみたい」とは、股関節を痛め、人工関節の手術を受けた元世界1位のアンディ・マリー(イギリス)のことである。「復帰は不可能」と言われるなか、不屈の闘志でツアーに帰還したマリーだが、連戦は難しいのが現状だ。

 だからこそ、その前に手術できたことを「結果、やってよかった」と錦織は安堵する。「若干、悔いも残ります。早く......もう2カ月早く、やると決めておけばよかったですが」との後悔もにじませたが、「そこは、しょうがないですね」と、穏やかにつづけた。

 復帰のプランは、手術当時に描いた「夏」のタイムテーブルどおりに進んでいるという。ただ、すぐにかつての場所に戻れるほど甘い世界でないことは、彼が誰よりも知ることだ。

「猶予は持たせて、というか。すぐ上がるのは難しいと思うので、ゆっくり上げながら、2〜3年以内にまたグランドスラムの上のほうでやるというのが、まずは目標ですね」

 最近のツアーの試合を「見てます。さすがにそろそろ見ないとまずいかと思って」の言葉からも、本格的な復帰モードに入ってきた機運がうかがえた。

「いつか皆さんが強くなった時、グランドスラムで会いましょう!」

 合宿の最後、ジュニア選手たちそう言い残して、錦織は会場をあとにした。それは彼が、自分自身に送るエールのようでもあった。

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