2022.04.04

大坂なおみの評価は世界で賛否様々。「政治のことを話すな」「戦う彼女を心から尊敬」「ミステリアスな人」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「ナオミ・オオサカ」の名がスタジアムでコールされるたび、客席では赤と青を基調にしたハイチの国旗が揺れ、日本語に英語、時にはフランス語でも声援が飛ぶ。

 大会開催時の世界ランキングは「77位」。それでも、今大会で大坂なおみの試合はすべて、センターコートに組まれていた。

 会場のハードロックスタジアムは、彼女が「家からダウンタウンに移動する時、クルマのなかからよく見ていた」という懐かしい景色。フロリダ半島南部の町、フォートローダーデールで10年以上暮らした大坂にとって、マイアミ・オープンは「ホームの大会」だ。

日本、アメリカ、ハイチと複数の文化的背景を持つ大坂なおみ日本、アメリカ、ハイチと複数の文化的背景を持つ大坂なおみ この記事に関連する写真を見る 「マイアミはニューヨークと並び、最もハイチ系の人口が多い町。多くの人は彼女のことを、アメリカ人と日本人のハーフとして語りますが、彼女自身が『私はハイチ人でもあるのよ』と言っているんです」

 連日マイアミ・オープンを取材するジャーナリスト/アナウンサーのウェスト・ラミー氏は、大坂と南フロリダのつながりを、重厚に響く声で説明した。そう語る彼自身も、両親ともにハイチ移民。大坂と同じようにハイチ料理を食べて育ち、ニューヨークに住んだ時期もあり、そして今はマイアミで根を張る"ハイチ系アメリカ人一世"だ。

「ハイチの人たちは、同じルーツを持つ人が音楽やアート、スポーツなどで活躍すると、全力で応援します。だからみんな、ナオミのことを誇りに思っている。それは日本人も同じですよね? 人種の坩堝(るつぼ)であるマイアミでは、ナオミの人気はほかの地域よりも高いのではと思いますよ」

 大坂に寄り添うように語る彼は、「彼女に対して『政治のことを話すな』と言う人もいますけれどね」と少し寂しそうに加えた。

「現在のアメリカでは、彼女に関する意見は割れていると思います」と俯瞰するのは、『NYタイムズ』紙の記者であり、CNNのコメンテーターも務めるベン・ローゼンバーグ氏である。