大坂なおみの評価は世界で賛否様々。「政治のことを話すな」「戦う彼女を心から尊敬」「ミステリアスな人」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

弱さも見せる素直な姿に共感

 25年間、この町でスポーツを取材するカーフマン氏が、特にハイチコミュニティにおける大坂の人気を実感したのは、3年前に書いた記事がきっかけだったという。

「ナオミが、自分たちが設立したハイチの学校を訪れた時のことを、彼女に直接インタビューして記事にしたんです。その記事は、私がここ何年かで書いた記事のなかで一番読まれ、反響も大きかった。

 特にハイチ系の方からのメッセージやコメントが多く寄せられました。それもフロリダだけでなく、ニューヨークの方からも『すばらしい記事だった』と言われたんです。彼女についての記事は、常にハイチ系の方たちに読まれています」

 もちろん大坂を支援する人たちは、ハイチ系だけではない。

「彼女はとても正直で、弱さも不安もさらけ出す。彼女はスーパーヒーローの振りをせず、自分はもろく、欠点も多いと素直に認める。そのような彼女の姿に、多くの人は共感していると思います」

 その共感の背景には、「マイノリティこそがマジョリティ」という、マイアミの土壌があるのかもしれない。

 今大会、ナオミ・オオサカの名は勝者としてセンターコートで5度呼ばれ、最後は準優勝者としてアナウンスされた。

「みなさんのおかげで、とても楽しい時を過ごせました。また来年会いましょう」

 表彰式でファンに呼びかける準優勝者の声に、色とりどりの温かな歓声が呼応した。

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