鹿島・新助っ人FWチャヴリッチが語るゴールの秘訣「欲張りすぎると、大事なことを見落としてしまう」
鹿島アントラーズ初のヨーロッパ出身選手
アレクサンダル・チャヴリッチ(後編)
◆チャヴリッチ・前編>>なぜ日本へ「確信があった。それはもはや愛」
来日からまだ数カ月に満たないが、アレクサンダル・チャヴリッチが鹿島アントラーズに馴染んでいるのは、彼のパーソナリティーが大きい。クラブのスタッフに話を聞くと、3月8日の国際女性デーには自ら花束を購入し、クラブで働く女性スタッフ全員に手渡し、日ごろの感謝を示したという。
「ここ数カ月の間に二度、自分の人生を左右するような大きな決断をした」
その背景には、鹿島アントラーズで成功を掴もうとするチャヴリッチの姿勢が表われている。鹿島アントラーズへの思いとともに、SKスロヴァン・ブラチスラヴァで多くのタイトルを手にしてきたストライカーの言葉には、チームがしばらく遠ざかっているタイトル獲得への気づきが詰まっている。
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チャヴリッチは鹿島にタイトルをもたらせるか photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る── ヨーロッパでのキャリアを振り返ったとき、ターニングポイントになったと感じている試合はありますか?
「キャリアを振り返って、厳密に分岐点を探していけば、いくつもの試合が思い浮かぶと思いますが、直近では2022年のUEFAヨーロッパカンファレンスリーグの予選です。(ズリニスキ・モスタルと対戦して)試合はPK戦までもつれたのですが、7人目までもつれたPK戦で、最後のキッカーを務めたのが自分でした。
SKスロヴァン・ブラチスラヴァはUEFAヨーロッパリーグやUEFAヨーロッパカンファレンスリーグへの出場に重きを置いているクラブだけに、その1本を決めるか決めないかで、クラブの命運が決まる状況でした。その責任のあるPKを蹴らせてもらうことができ、それを決めたことで、状況を大きく変えることができました。
今、自分が鹿島アントラーズでプレーしているように、人生は何が起こるかわからないから、おもしろいですよね。そうしたターニングポイントで大事になってくるのは、チャンスを掴む準備ができているか、できていないかだと思っています」
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プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。