鹿島・新助っ人FWチャヴリッチが語るゴールの秘訣「欲張りすぎると、大事なことを見落としてしまう」 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke

【勝者のメンタリティーは徐々に培われる】

── その決断が容易ではなかったことは想像に難くありません。

「もちろん、代表チームの試合に出たくないとは微塵も思っていないし、言ってもいません。日本でプレーしていなければ、迷わず、代表の活動に参加したと思いますし、今後は異なる判断をするかもしれない。でも、今はそのタイミングではなかったというか......アントラーズでのプレーに集中することが、自分にとって最善だと思ったんです」

── ほかでもない自分の人生ですからね。

「おっしゃるとおりで、これは自分の人生であり、自分の選択であり、自分で決めることだと思っていました。

 まだ、僕はアントラーズに何も残せていないし、アントラーズで何も成し得ていない。繰り返しになりますけど、僕はアントラーズにただプレーしに来たわけではなく、何かを勝ち獲るために、ここに来たと思っているので」

── SKスロヴァン・ブラチスラヴァでは6度のリーグ優勝を含め、数多くのタイトルを獲得しています。印象に残っているタイトルはありますか?

「すべてのタイトルが特別なものでしたが、そのなかでもやはり最初に獲ったタイトルは印象に残っています。連続してタイトルを獲り続けるのは、モチベーションも含め、決して容易ではないですが、ひとつ獲ることでチームも、自分自身も、メンタリティーが大きく変わったことを実感しました。

 そのメンタリティーは、もしかしたら優勝した瞬間に得られるものではなく、タイトルを獲ったことを徐々に噛み締めていくことで培われていったものではないかと思っています。そうやって噛み締めていくからこそ、自分たちはできる、自分たちはやれるという自信に変わり、それを繰り返していくことで、ふたつ目、三つ目に手が届く。

 だからこそ、ひとつ目のタイトルは自分にとっても印象深く、きっとアントラーズにとっても、ひとつ獲ることで変わるきっかけになっていくのではないかと思っています」

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