2022.04.02

大坂なおみの決勝戦はファンが待ち望んだ最高のカード。対戦相手は夕食に誘って悩みも聞いた仲良し

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 2年半前の初対戦は、新しい何かの始まりのような、希望の予兆の香りがした。

「自分より若い人と対戦するのは、私にとって珍しい体験。勝てたのは、私に運があったから。彼女とはこれからも、何度も対戦することになると思う」

 2019年夏のロジャーズ・カップ(カナダ)3回戦。勝者となった大坂なおみは、オンコートインタビューでそう語った。

決勝進出を決めて笑顔が戻ってきた大坂なおみ決勝進出を決めて笑顔が戻ってきた大坂なおみ この記事に関連する写真を見る  彼女が7−6、6−4のスコアで退けた相手は、予選を突破し勢いに乗るイガ・シフィオンテク(ポーランド)。

 当時の大坂は21歳で、グランドスラム優勝者の肩書きも持つ世界ランキング2位。対するシフィオンテクは、プロのキャリアを本格的に歩み始めたばかりの65位で18歳。

 そのふたりは立場を入れ替え、今回のマイアミ・オープン決勝戦で2度目の対戦を迎える。

パワーテニスの申し子である大坂に対し、コートカバー力と多彩なショットを武器とするシフィオンテク。育った地は、方やアメリカで、方やポーランド。

その生い立ちや背景は、大きく異なるように見える。ただ、初めてネットを挟み対峙した時から、ふたりは互いに共通した要素を見いだしていた。

「私たちは両方ともシャイで、似ていると感じた。ナオミはセレブリティなのに、ものすごく謙虚で普通な人でびっくりした!」

 当時18歳のシフィオンテクは、大坂との邂逅を興奮気味に語っていた。

「NYで一緒に練習しようね」「絶対だよ!」

 初対戦直後、そんな微笑ましい約束をツイッター上で取り交わしたふたりは、数週間後に全米オープン会場で練習をともにする。誘いの声をかけたのは、大坂のほうだった。

 その後もシフィオンテクは折に触れ、キャリア上の悩みを大坂に打ち明けたこともある。

 2020年1月、当時まだ高校生でもあったシフィオンテクは、卒業後に大学に行くことも視野に入れていた。そのことを本人から相談された大坂は、全力でシフィオンテクを勇気づけたという。