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大坂なおみの決勝戦はファンが待ち望んだ最高のカード。対戦相手は夕食に誘って悩みも聞いた仲良し (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

大舞台にめっぽう強い両者

「一緒に夕食を食べていた時、彼女は大学に行こうかなと思っていると言っていた。私は『大丈夫だよ、あなたは絶対にすばらしい選手になるから。今はまだ、大学にエネルギーを割く時ではないと思う』って言ったの。

 だからその後、彼女がグランドスラムで優勝した時(2020年・全仏オープン)は、すごくうれしかった。彼女にはこのまま強くなっていってほしいし、そうなると確信もしている」

 大坂が、我が事のようにうれしそうに語ったのは、昨年の全豪オープンの時だった。

 大坂が「これからも、何度も対戦することになると思う」と予見した初顔合わせから、今回の2度目の対戦まで2年半の時を要した。ただ、その間にふたりが歩んだ足跡を思えば、それは最良の舞台が整うまでに必要な月日だったのかもしれない。

 シフィオンテクは2020年10月に全仏オープンを制し、来週には世界ランキング1位に上り詰めることが確定している。一方の大坂は、精神面の揺らぎを告白しランキングも落としたが、今大会で再びトップフォームを取り戻した感が強い。

 大舞台にめっぽう強いのも、両者に共通する特性だ。

 グランドスラム、およびWTA1000クラスの大会の決勝戦の戦績は、大坂はグランドスラム4大会を含む6戦全勝。2020年シンシナティ大会決勝の欠場はあるものの、コートに立てば負けなしだ。

 対するシフィオンテクも4勝0敗。しかも彼女は現在、2月末のカタール・オープンを皮切りに、BNPパリバオープンでも優勝して今大会は3大会連続優勝がかかっている。世界1位のアシュリー・バーティ電撃引退の衝撃はまだ消えないが、まるで自分が女子テニス界を牽引していくと宣言するかのような、圧巻の連勝ロードだ。

 この16連勝に象徴されるように、シフィオンテクの強さの基軸は万能性と適応力の高さにある。今大会の準決勝でも、低い軌道のストロークを得手とするジェシカ・ペグラ(アメリカ)をベースラインから引かぬハイペースの打ち合いで退けた。

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