大坂なおみは当時15歳で世界1024位。9年前に「なんてクール!」と思った元天才少女とのリベンジマッチ

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 シーズン序盤戦の掉尾を飾る、マイアミ・オープンの準々決勝。

 ベリンダ・ベンチッチ(スイス)がダリア・サビル(オーストラリア)を6−1、6−2で圧倒した数時間後、大坂なおみは先の全豪オープン準優勝者のダニエル・コリンズ(アメリカ)を6−2、6−1で破った。

 ベンチッチと大坂は、現地時間の3月31日(日本時4月1日深夜)に決勝の席をかけて対決する。それは勝者にとって、ツアーレベルで迎える通算4度目の対戦だ。

 ツアーレベルで......とあえて記したのは、ツアーの下部レベルの大会でも両者は1度対戦しているからだ。

初のマイアミ・オープン準決勝に進出した大坂なおみ初のマイアミ・オープン準決勝に進出した大坂なおみこの記事に関連する写真を見る 9年前の2013年----。

 1997年生まれの同期であるベンチッチと大坂は、アメリカ・アラバマ州開催の賞金総額25,000ドルの大会に参戦していた。

 当時15歳の大坂にとって、この大会はフロリダ州の自宅からさほど遠くないために、参戦しやすい大会だったろう。

 ジュニア大会には出場せず、14歳からプロサーキットを転戦していた彼女の当時のランキングは1024位。この大会には予選から参戦し、接戦を制して本戦の切符を勝ち取っていた。

 一方、16歳の誕生日を迎えていたベンチッチは、ジュニア大会で次々と結果を残し、すでに将来を嘱望される存在だった。

 彼女のコーチが「天才少女」と呼ばれたマルチナ・ヒンギスの母親であることも、注目度に一層の彩を添えていただろう。ジュニアで実績を残し、並行して世界各国のプロサーキットにも参戦していたベンチッチは、この時点で世界ランクも496位まで上げていた。

 世界的にまだまだ無名だった大坂は、初戦で対戦する同期の少女について、みんなが話していたことをよく覚えているという。

「大会に出ていた選手がみんな彼女のことを、どれだけいいジュニアかと話題にしていた。私は、いつも大人の大会に出ていたので、自分と同じ年齢の子がいるのがうれしかったの。でも、彼女は当時からとてもプロフェッショナルで、私が知らないことをいっぱいしていた」

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