2022.03.26

大坂なおみ、世界1位の予想を覆し、世界1位を撃破。世界1位に返り咲くカギは「天才異端児」との出会い

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 いつもは大会のドローを見ない彼女が、その全容を知ってしまったのは、『テニスチャンネル』を「うっかり」見てしまったからだという。

『テニスチャンネル』はその名のとおり、アメリカ拠点のテニス専門ケーブルテレビ。大坂が偶然目にした時、同チャンネルではいみじくも、マイアミ・オープン特集をしていたという。

「困ったことに『テニスチャンネル』を目にした時、ドローが映し出されたので見てしまったの。それで、『ダメー!』と思っている間に、初戦に勝ったら、ケルバーと対戦するって知ってしまったのよね......」

2020年全豪OPでのニック・キリオスと大坂なおみ2020年全豪OPでのニック・キリオスと大坂なおみ この記事に関連する写真を見る  大坂が2回戦で当たったアンジェリック・ケルバー(ドイツ)は、元世界ランキング1位で、現在15位。初戦免除のシード選手のため、大坂が勝ちさえすれば対戦は確定していた。

 ただ......その後の『テニスチャンネル』の展開が、大坂の心をざわつかせた。

「番組のコメンテーターはキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)で、彼女が勝ち上がり予想をしていた。そのなかで彼女は、3回戦はケルバーとフェルナンデスの試合になることに疑いを持っていない感じで話していたの。

 『え? 私とムホバはいないことになってるの?』って。変な話だけれど、そのことが試合中も何度か頭をよぎったわ」

 思い出し、笑いを幾度もこぼしながら話す彼女は、さらに可笑しそうに続けた。

「それが、今日のスコアにつながったとは言わないし、決して根に持っているわけでもないわよ。たしかにここ数カ月の私は、たいした成績も残していないからね。でも、まだ私は自分自身を、そこそこにいい選手だって思っているの」

 テニスチャンネルでコメンテーターをしていたウォズニアッキは、2020年1月に引退した元世界1位。ウォズニアッキが3回戦のカードとして予想したフェルナンデスは、昨年の全米オープンで大坂を破り、最終的に準優勝者となったレイラ・フェルナンデス(カナダ)。ムホバは、フェルナンデスと2回戦で対戦したカロリナ・ムホバ(チェコ)。ケガで戦線を離れたためランキングこそ落としているが、1年前はトップ20にいた実力者だ。

 そして大坂が言及した「今日のスコア」とは、2回戦のケルバー戦の結果を指す。

 6−2、6−3。

 数字が示すとおり、大坂の完勝だった。