「ラケット破壊」への悔い。
感情を抑え込んだ加藤未唯が最後に笑うまで (5ページ目)
感情を抑え、辿り着いた決勝戦の舞台で彼女が表出を抑えていたのは、怒りでも気迫でもなく、溢れ出そうなうれしさだった。
「悔しくない」と「悔いがない」はイコールではないと、彼女は言う。だから、敗れた事実は悔しい。それでも「持っているものは全部出せた」から悔いはない。その達成感は、対戦相手と握手したときの表情に何より克明に映し出された。
制御不能になる激情を封じるため、喜びも含めた一切の感情を表に出すことを自らに禁じ、9日間で単複10試合を戦い抜いた彼女が最後の最後にコート上で見せた表情――。それは、自身と会場のファンの想いを重ねた、最高の笑顔だった。
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