福井烈から錦織圭へ。「全仏は、ピーキングができれば優勝できる」 (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi


 プレッシャーのかかる中では、心身とも強くなければ、勝ち切ることは難しいので、これは錦織の誇るべきレコードだ。基本的には記録に無頓着な錦織だが、この記録だけはトップを保持していることを喜んでいた。ただし、1位と2位の差は、昨年には4%あったので少し縮まっている。

 今季の錦織のファイナルセット勝率は6勝3敗で66.7%だ。現在の錦織にとって、このデータは両刃の剣でもある。

 試合が長引くのは得策とは思えないからだ。マイアミでは、右手首だけでなく左ひざにも故障を抱えていた。さらに、ここ半年で頻発したフィジカルの問題を踏まえると、なるべくストレートで勝負を決め、体への負担を軽くしたい。あくまで理想だが、ファイナルセットで勝負を決めるのは、なるべくロジャー・フェデラー(4位)やナダル(5位)といった強敵と対戦するときだけに留めたいところだ。

 また、これからケガや故障と付き合いながら戦う錦織にとって、より重要な大会で最大限のパーフォーマンスを発揮できるかどうかが大切になる。つまり、いかにしてグランドスラムへピークをもっていくかだ。

「これからグランドスラムにピークを持っていくことがもっと大切になります。20代後半になってフィジカルも考えないといけないですから、一番重要な大会へのピーキングは、これから3年、今まで以上に大切になる。トップ選手はそれができれば、優勝できるのではないでしょうか。もちろん簡単なことではありませんが」(福井氏)

 まずは今年、グランドスラム第2戦であるローランギャロス(パリ、5月28日~6月11日)で、錦織が最大限の力を発揮できるかどうかだ。

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