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錦織圭、プレーで「試行錯誤」できる
10年目のマイアミは我がホーム (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 試合後の錦織は、まずは難しい気象条件であったことに言及しながらも、こう続ける。

「フォアを使って攻撃的なプレーができた。リターンでしっかりボールを入れていけたのが、いいプレーを引き出す要因になったと思います」

 そのリターンで迷いなくプレー選択ができたのは、このマイアミのコートはインディアンウェルズに比べてボールが跳ねないため、長身のアンダーソンが放つスピンサーブも早めに捕らえて返せるとの自信があったから。

「ここはあまり弾まないので、なるべく前に入ったり、後ろでもプレーしたり......いろいろと混ぜながら、どうにかして相手のファーストサーブの確率を下げたり、リターンを入れて試行錯誤していきました」

 奇しくも「試行錯誤」は、先週のインディアンウェルズ準々決勝でジャック・ソック(アメリカ)に敗れた錦織が、「もっと試行錯誤できれば......」と悔いとともに漏らした言葉。それが今回は勝因として、彼の口から語られた。ボールの跳ね方も風すらも、10年の試行錯誤の日々が詰まったこのコートでは、彼の制御可能な範疇にあるのだろう。

 与えたブレークポイントはゼロ。奪ったブレークは、6度のチャンスのうち3度。昨年は決勝の舞台に到ったコートに笑顔を残し、まずは自信の裏づけとなる、価値ある勝利を持ち帰った。

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