錦織圭のライバルは五輪欠場。
ポイント荒稼ぎで勢力図は激変? (2ページ目)
これら世界の変容は、今はまだ微かな気配や予兆の段階であるだろう。だが、この趨勢(すうせい)に拍車をかけかねない要因が、8月上旬のリオ・オリンピックである。
リオ五輪におけるテニス競技は、8月6日から14日にかけて行なわれる。期間にすれば、わずか9日間――。しかし、毎週大会が組まれるテニスツアーのスケジュールでは、この9日間の捻出は、大きな"シワ寄せ"を生むことになる。
わかりやすい例として、今年のウインブルドン後からリオ五輪までのATPツアースケジュールを、昨年のそれと比べてみよう。
ウインブルドン後に最初に行なわれる「出場義務大会」はカナダ・マスターズ(ロジャーズ・カップ)であり、例年はウインブルドンの4週間後に開幕する。多くのトップ選手にとってこの4週間は、必要不可欠な心技体のメンテナンス期だ。欧州で3ヶ月間使い込んできた身体を休め、同時に過酷なシーズン終盤戦を乗り切るためにも、上位選手ほどこの期間をトレーニングに充てている。錦織もウインブルドン後の3週間は大会に出ず、8月上旬のシティ・オープンから再始動するのが常だ。
ところが今年は、ウインブルドンのわずか2週間後に、カナダ・マスターズが開幕する。この"失われた2週間"の代償は、人気選手たちの不在という形で、何より明確に表れた。まずはウインブルドン優勝者のアンディ・マリー(イギリス)が、「疲労」を理由にカナダ・マスターズ欠場を表明。次いでロジャー・フェデラー(スイス)とラファエル・ナダル(スペイン)までもが、揃って不参加を発表した。
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