2016.08.16

「成長を測る存在」ナダルを撃破。
錦織圭の銅メダルは強さの証

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by JMPA

「3位決定戦で負けて4位になるのは、どんな気分なんだろう」と、錦織圭は”オリンピック選手”としても大先輩にあたる、松岡修造氏に尋ねたことがあるという。

日本勢96年ぶりのメダル獲得を成し遂げた錦織圭 通常は、負けた時点でその大会は過去として置き去りにし、次の戦いが待つ町へと旅立つのが、テニスプレーヤーの日常だ。そんな習性が身体の芯まで染み込んでいる彼らにとって、3位決定戦はあまりに独特なシステムであり、ゆえにもっとも”オリンピック”を感じる戦いなのかもしれない。

 トロントとシンシナティで開催される、ふたつのマスターズ大会に挟まれたリオデジャネイロ五輪に出るということは、スケジュールや体調面で大きなリスクを伴うものでもあった。ましてや錦織は、ウインブルドンで左脇腹の痛みのために、4回戦途中で棄権している。しかも今回のリオ五輪では、勝ち進んでもランキングポイントは得られない。それらの状況を考慮し、出場を辞退した選手も少なくはなかった。

 そのオリンピックに出る理由を、錦織は、「子どものころから夢見た場所だから」と端的に明言した。彼をよく知る人たちも、「メダルを本当に欲している」と口をそろえる。

 他競技のトップアスリートたちとの交流も、錦織が五輪で望んだことのひとつ。残念ながら、「話してみたい」と言っていたゴルフの松山英樹の姿はリオになかったが、以前から交流のある陸上の桐生祥秀との再会も楽しみにしていた。