リオ五輪はどうなる?錦織圭「筋肉が切れるまで...」も無念の棄権 (2ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 棄権の予兆は試合前からあった。4回戦の前日練習では、1時間の予定を40分で打ち切り、試合当日の直前練習は、わずか15分で切り上げていた。錦織に帯同するダンテ・ボッティーニコーチの、「正直に言うとわかりません。ケガの痛みの感じ方は本人にしかわからないですからね。(試合当日までには)さらによくなって、いい試合ができるといいですね」という願いとは裏腹に、試合前日から錦織の症状は悪化し始めていた。

「前の試合と比べものにならないほど痛かった。難しいのはわかっていた。最初からサーブもほとんど打てなかった」

 こう語った錦織は、1球もサーブを思い切り打てず、錦織のファーストサーブの最高時速は165kmで、チリッチのセカンドサーブの最高時速175kmより遅かった。さらに、3回戦まで打てていたストロークも全力で打てなくなり、これでは2年連続ウインブルドンベスト8に進出しているチリッチに太刀打ちできるわけがなかった。

 ケガを抱えながら戦った錦織のウインブルドンは終わった。「今大会、たぶん人生の中で一番ケガの痛みと闘った」と振り返ったが、当初から錦織にはある覚悟があった。

「グランドスラムじゃなかったら、たぶん1回戦から出てなかったと思います。かなり最初から痛みがあったので。2、3試合目は少しだけよくなりましたけど......。やっぱり、このグランドスラムで、特にウインブルドンで頑張りたいという気持ちはありました。そのモチベーションだけでした」

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