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クレー巧者を圧倒。錦織圭が2回戦で見せた「作戦変更能力」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 あれから8年の時が経ち、ベルッチとの再戦のコートは、再びクレーとなった。だが、その舞台には、フレンチオープンのセンターコートという、世界最高峰のステージが用意された。錦織は5位、ベルッチは40位。2回戦にしてのセンターコートは、錦織の地位と実績に与えられた栄誉である。

 昨年以降、錦織がクレーで見せている盤石の強さは、ベースラインから下がらずにボールの跳ね際を叩く、速い展開と攻撃重視のスタイルによるところが大きい。だが、この試合の立ち上がり、最近の錦織にしては珍しいほど、ベースライン後方に下がる場面が多く見られた。

「最初は相手の様子を見たり、打っていくべきかどうか、自分でも決断できていない部分があった」

 ベルッチは前週にスイスで行なわれた前哨戦を制し、調子を上げてパリに入ってきている。「わざとではなかった」とは言うが、下がり気味のポジショニングは、相手の力と出方を見極めたいという狙いの表れだろう。

 そのように相手を見極める「解析期間」は、およそ10ゲームを要した。ゲームカウント5-5で迎えた第11ゲーム、錦織は相手のダブルフォールトに乗じ、ワンチャンスをモノにしてブレーク。そして、第1セットを奪い去った。

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