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クレー巧者を圧倒。錦織圭が2回戦で見せた「作戦変更能力」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 セカンドサービスの攻略も、この日の錦織の大きなテーマだった。長身(188センチ)のベルッチのセカンドサーブは、バウンド後に方向を変えて高く弾む。しかも左利きのため、他の選手とは逆の回転やバウンドになるのだから、やっかいだ。

「一番苦労したのは、リターン。特にフォアサイドからのセカンドサーブは、自分のボディに入ってくる感じで跳ねる」

 だからこそリターンの位置も、ある時は大きく下がり、またある時はコート内に踏み込んで叩くことで、プレッシャーをかけた。相手のセカンドサーブポイント獲得率は、第1セットは57パーセント、第2セットは40パーセント、そして第3セットは37パーセント。試合が進むにつれて下がったこの数字が、錦織の作戦遂行力と適応力を端的に指し示している。

「相手は、クレーコーター。長いラリーになることは分かっていた。中盤からは、特にバックのダウンザラインをコートの中に入って打てたので、ストローク戦で主導権を握ることができた。今日は相手を見ながら、いろいろ戦術も変えながらやっていました」

 いかなる場面で、どのショットを打つかの判断も、その時々によって異なるのだと、錦織は言う。

「1球目のボールを打って、2球目を考えることもある。瞬時の判断で打つこともある。ボールのバウンドやイレギュラーもかかわってくるので……」

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