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【テニス】錦織圭がケガを抱えながら試合に出場したワケとは? (3ページ目)

  • 内田暁●文 text by Uchida Akatsuki
  • 神仁司●写真 photo by Ko Hitoshi

 今後テニス界は、北米でのハードコートシーズンを終え、春から初夏にかけて欧州を中心とした赤土(クレー)の季節が始まる。南欧の日差しを浴びながらの赤土の戦いは、泥臭く苛烈だが、錦織はこの時期を「大きなポイント収穫期」と見なしている。なぜならば昨年は、5月のマドリッドとローマのマスターズ大会、そして四大大会の全仏オープンも欠場したため、その3大会に関して失うポイントがないからだ。つまり今年は、それら3大会に出場し勝てば勝つだけ、ポイントを上乗せできる。だからこそ彼は、4月のヒューストンやモンテカルロ大会はあえて出場せず、「しっかりトレーニングを積んでクレーに入っていく」予定だ。

 「クレーでも自分のプレイを掴めてきて、強くなっている感じはある。クレーが一番、ポイントが取れるところなので、目標にしていきたい」

 来たる書き入れ時を視野に捉え、錦織はそう語気を強めた。

 錦織は以前から常々、「クレーが最も好きなコート」だと言っていた。クレーへの愛着の原点は、欧州で複数のジュニア大会に参戦し、地元選手たちを次々に破った少年時代の記憶にある。そのときに得た自信が、今の彼の礎(いしずえ)となるものだ。

 「ここからの道のりが一番厳しいと思うが、目指さなければ上に行けない。自分にとってもチャレンジである、トップ10という目標を掲げました」

 険しき道は承知の上で、あえて退路を断ち、目指す高み。少年時代の10年前、世界へ翔び立つ道筋を見つけた赤土に、錦織圭は今、トップ10への足跡を刻みに行く。


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