2013.03.26

【テニス】充実の笑顔。クルム伊達の好調を支える原動力

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi  photo by Ko Hitoshi

今シーズン好調をキープしているクルム伊達公子 “マイアミの奇跡”が、起こってもおかしくなかった――。

 グランドスラムに次ぐプレミア・マンダトリー・グレードの大会であるソニーオープンに、4年連続出場を果たしたクルム伊達公子(WTAランキング78位、大会時)は、元女王で第19シードのヴィーナス・ウイリアムスをあと一歩のところまで追い詰めた。

 今シーズンのクルム伊達は好調を維持しており、1回戦をわずか55分で勝利。2回戦のヴィーナス戦でも、42歳という年齢を感じさせないプレイで躍動した。ヴィーナスに全盛期のパワーはないものの、今でも得意のサーブは時速180kmを超える。そのサーブを、クルム伊達は、得意のライジングでリターンし、フラット系の鋭いストロークで反撃した。

「彼女は、驚くようなショットを打ってきた。自分が本当に良いショットを打ったと思っていても、彼女は私が打ち返すことができないショットを打ってきた。彼女が勢いに乗ったら、それを止めるのは容易なことではない」(ヴィーナス)

 ヴィーナスが、ようやく勝利を決めたのは、7回目のマッチポイントで、2時間32分に及ぶフルセットの激戦の末だった。

「体も動いていましたし、ヴィーナスを相手に、ここまでくらいついていけるプレイができたという手ごたえはもちろんありました。もうちょっと運が必要かな。手ごたえと自分のテニスは確認できた。ま、残念ですけど、やるべきことはやり切れた。納得のいく結果です」

 負けた悔しさよりも、自分の思うようなプレイができた充実感でいっぱいのクルム伊達だったが、実は、ヴィーナス戦で、初めて目にする彼女の姿があった。シングルスなのに笑顔が何度も試合中に見られたのだ。ダブルスでは、よく笑顔を目にするが、シングルスでは初めてのことだった。