【テニス】錦織圭がケガを抱えながら試合に出場したワケとは?
北米2大会で昨年よりも多くのポイントを獲得した錦織圭。すべては「トップ10入り」のためだ アメリカ・カリフォルニアで行なわれた『BNPパリバオープン』で3回戦進出、そしてマイアミでの『ソニーオープン』ではベスト16進出。結果、4週間の激闘を終えて、前年比プラス35ポイント――。
今季、「トップ10入り」という目標を掲げる錦織圭にとって、ケガを抱えながらもランキングポイントを上積みできたことは、間違いなく今後、大きな意味を持ってくるはずだ。
話を進める前に、『ランキングポイント』に関して、少々説明が必要になるだろう。テニスのランキングは、ほぼ1年中、世界のどこかで行なわれる大会の結果により、毎週更新されていく。選手は、出場した大会のグレードと成績に応じてポイントを獲得。それら獲得ポイントは1年間有効で、年間の累計ポイントによってランキングが決まる。ただし、大会に出れば出るほどポイントがもらえるわけではなく、ランキングの対象となる大会数は『18』。しかもグランドスラムや、今回のBNPパリバオープンやソニーオープンのようなマスターズ大会は、出場が義務付けられている。
やや細かい話になってしまったが、錦織は昨年のこの時期にも、同マスターズ2大会に出場し、BNPパリバオープンは2回戦敗退、ソニーオープンは今回と同じくベスト16。今年はBNPパリバオープンで昨年よりひとつ多く勝ったため、獲得ポイントも増えたというわけだ。
4週連続で大会期間中となる3月は、テニス選手にとって、1年の中で最も過酷な時期である。特に今年の錦織は、この2大会に挑むにあたり、大きな不安を抱えていた。2月にツアー3勝目を挙げ、調子は上向きだったものの、連戦を重ねた代償として腹筋を負傷。優勝した翌週の大会では、初戦での途中棄権を余儀なくされた。
迎えた3月上旬のBNPパリバオープン。腹筋のケガが癒えていないことは、誰の目にも明らかだった。「サービスを打ち終わり、屈んだときに痛みが出る」ため、サービスは「6~7割程度の力」でしか打てない。好調時に時速200キロは出るスピードも、160キロ前後まで落ちていた。
そのような苦しい状況にありながら、錦織陣営は緻密な計算による善後策を講じ、置かれた事態の中ではベストに近い結果を出したと言えるだろう。
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