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姫野和樹「読書をしていなかったら、今の自分はない」 マルクスの『資本論』に関心を持ち、渋沢栄一の『論語と算盤』からも影響 (3ページ目)

  • 齋藤龍太郎●取材・文 text by Ryutaro Saito

【時には休む勇気をもらった】

 身を挺(てい)してチームに貢献する。姫野にはそれを強く感じる瞬間があるという。

「試合の次の日の朝、ベッドの上でボロボロになった自分を感じて、『ああ、僕はこれだけチームのために、仲間のために体を張ったんだな』と実感します。それがラグビーをやっていて一番好きな時間であり、自分が幸せを感じる瞬間です。そのような感性を持っているからこそ、本の内容にも共感を覚えるのだと思います。

 責任を強く感じるあまりにオーバーワークしてしまい、ケガをすることも多いのですが、『論語』にも出てくる孔子の『過ぎたるは猶及ばざるが如し』、つまり過剰に行なうのは足りないのと同じ、という言葉の意味を実感したことで、時には休む選択をする勇気をもらいました」

手にしている本は著書『姫野ノート「弱さ」と闘う53の言葉』 photo by Aki Nagao手にしている本は著書『姫野ノート「弱さ」と闘う53の言葉』 photo by Aki Nagaoこの記事に関連する写真を見る フィジカルバトルの連続であり、「相手に絶対に負けない」というメンタルが勝敗を分かつラグビーという球技をするうえで、読書はメンタルタフネスにも好影響をもたらしている。

「精神的にもかなり鍛えられました。読書をしていなかったら、今の自分はない気がします。本が自分の知見を広げてくれることで、メンタルの安定にもつながっています。その安定のために必要なスキルも、読書によって培われてきたものです」

 日本人の活字離れが指摘されて久しいが、読書が再び世に広まれば人と人との相互理解も深まり、よりよい社会になっていくのではないだろうか。

「啓蒙するつもりはないのですが、まさしくそのとおりですね。今の中高生、大学生はあまり本を読んでいない印象がありますが、やっぱり読んだほうがいいと思います。

 本には長い歴史があり、その過程で新しい理論や価値観が生まれ、今につながっています。そんな歴史のほんの一部を知るだけでも本当におもしろいので、本を読む価値を知ってもらいたいです。

 たとえば、『古事記』は小難しいところもありますが、今は漫画にもなっていますので、最初はそれを入口に理解していくなど、自分に合ったものを読んでいくといいと思います。その後、歴史や時代背景などを知ってから再読すると、さらに深く読解することができます。僕が最初に読んだ『海賊と呼ばれた男』も、知識が増えてから読み返したところ、さらにおもしろく感じられました」

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