ラグビー明治大100代目主将・廣瀬雄也が語る『前へ』の重み「支えてくれる言葉」 (4ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji

 それでもまだわかっていない部分があり、2年生の春は(先発)メンバーから外されて、Bチームにも落とされた。『このままじゃダメだ』とあらためて感じて、1年生の終わりから2年生の春にかけて大きく成長することができました」

── 当時は「日本代表になりたい」という話もされていました。

「日本代表を目指したいという気持ちはちょっと変わって、今は明治で日本一を取りたい、このチームをいいチームにして次の代に託したい、という思いが強くあります。『明治で日本一になったら、燃え尽きちゃう』というくらいに、明治のラグビーに賭けています。

 まずは目の前のことに集中し、卒業してリーグワンのチームに入ることになったら、またがんばるものを見つけられたらいいなと思っています」

── 大学選手権ではどんなプレーを見せたいですか?

「久々の出場になるので『自分がやらなきゃ』みたいに空回りするのではなく、いつも自分がやってきたことを、みんなと連係をとりながらやっていきたい。キャプテンとしてチームを同じ方向に向かせて、最後は必ず優勝したい。そして、帝京の時代を終わらせたい。そうしないと(大学選手権が)絶対に面白くないと思っています!」

── あらためて『前へ』と言う言葉は、廣瀬主将にとってどういうものですか?

「それはけっこう考えるんですが......毎回、意味合いが変わっていくし、人それぞれにとっても違う。明治を引退したあとにわかってくるのかもしれないし、大学選手権の結果次第でも変わってくるのかもしれない。

 ただ、『前へ』という言葉があるから、早明戦では明治のラグビーを再認識できたし、ケガをした時もメンタル的に前を向かないといけないと思うことができた。

『前へ』は、ラグビー面でも、私生活でも、支えてくれる言葉。明治のラグビー部じゃないと、(明治大ラグビー部の拠点)八幡山のグラウンドに立たないと、わからない。『前へ』という言葉に出会って、本当によかった」

<了>


【profile】
廣瀬雄也(ひろせ・ゆうや)
2001年4月7日生まれ、福岡県宗像市出身。ラグビー選手だった父・友幸の影響によりラグビーをはじめる。東福岡高時代には高校日本代表に選ばれ、2020年に明治大へ進学。4年生になった2023年、明治大ラグビー部の100代目主将を任される。3歳下の弟・幹太は福岡工業大のWTB。ポジション=センター。身長179cm、体重95kg。

著者プロフィール

  • 斉藤健仁

    斉藤健仁 (さいとう・けんじ)

    スポーツライター。 1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。2000年からラグビーとサッカーを中心に取材・執筆。ラグビーW杯は2003年から5回連続取材中。主な著書に『ラグビー『観戦力』が高まる』『世界のサッカーエンブレム完全解読ブック』など多数。

【ラグビーW杯フォト】日本代表「ブライトンの奇跡」プレイバック(23点)

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