ラグビー日本代表・福井翔大が初出場までの4年間を「後悔なし」と胸を張る理由 (2ページ目)
【高校卒業後すぐにプロの道へ】
試合後、福井は初めてのジャパンの経験をこう振り返る。
「むちゃくちゃ緊張していましたが、バックロー(FLとNo.8の総称)はポジション争いが激しく、背水の陣でやるしかなかった。1対1で黒いジャージーの人(オールブラックスXV)に絶対に負けられないと思っていました。(満員の観衆のなかでプレーして)本当に幸せ。やっとここまで来られたな......ラグビーをやってきてよかった瞬間でした」
この試合で共同キャプテンを務めたFLリーチ マイケル(ブレイブルーパス東京)と、福井は初めてチームメイトとして出場した。「堀江翔太さん、坂手淳史さんも偉大なリーダーですが、また違ったリーダー。(リーチさんは)言葉は多くないですが、ついていきたいリーダーです。リーチさんのような一貫性のあるプレーがしたい」と話す。
ただ、自己採点は「50点」とやや辛め。「負けたら意味がない。勝てるビジョンがあったし、(6月の浦安合宿で)すごくきつい練習を乗り越えてきたので、純粋に悔しい。ミスも何回かしてしまった。相手のフィジカルも高くてテクニックもうまくてやられた」と唇を噛んだ。
福井の父親(由樹)はコカ・コーラの元選手。その影響で5歳からラグビー競技を始めた。その当時から、福井にとってワールドカップは「憧れの大会」だった。
福岡県の強豪・東福岡に進学後、福井はすぐに頭角を現わす。高校2年時には「高校3冠」に大きく貢献し、高校3年時はキャプテンとして「花園」全国高校ラグビー大会でベスト4に入った。
世代トップクラスの選手となった福井は、高校時代にU17、高校日本代表、さらにひとつ上のU20日本代表にも選出される。海外のチームと対戦した影響もあり、福井は「早く世界のトップで戦いたい」と大学に進学せずに、高校卒業後にプロ選手としてワイルドナイツに入団した。
最初の2年間は、思うように試合に出られなかった。だが、国際経験の豊富な選手が多いワイルドナイツで研鑽を積んだ結果、3年目からレギュラー陣に絡むことができるようになった。2021年秋には初めて日本代表合宿に呼ばれ、欧州ツアーも経験できた。
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