ラグビー日本代表の不動の12番・中村亮土が「できるじゃん!」と認められるようになるまで「あのトライから信頼度が増した」 (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 試合に出られないというストレスは、もちろんありました。でも、自分のためのプレーとチームのためのプレーを、いいバランスで両立することができていました。それはたぶん、サンゴリアスで試合に出られなかった数年の経験があったからだと思います」

── サンゴリアスの若手時代の経験が日本代表でも活きたわけですね。

「あの経験が今につながっているのは間違いないですね。入部した当時ノンメンバーだった時の苦しみを覚えているので、日本代表で再びノンメンバーになってもあまりネガティブになることはなかった。

 でも、常に『自分自身はどうしたいのか?』という意識は持っていました。小さい頃から負けず嫌いだったので、向上心がなくなるようなことはなかったです」

── その後、中村選手は日本代表で定位置を確保していきました。ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)から「信頼を得たな」と感じた試合はありましたか?

「やはり2018年の秋、トゥイッケナム・スタジアムでトライを挙げたイングランド代表戦じゃないですかね。対面の選手(CTBアレックス・ロゾウスキー)は僕にトライを奪われた直後に交替させられて、その後(イングランド代表から)いなくなりましたし(苦笑)。

 あの試合のあとくらいから、信頼度が増したように感じます。ジェイミーも『できるじゃん!』と認めるようになったんじゃないかなと」

── 日本代表で組むCTBについて話を聞かせてください。2019年W杯ではCTBラファエレ ティモシー(コベルコ神戸スティーラーズ)とのコンビは安定感抜群でした。

「どのCTBとコンビを組んでプレーする時も、13番の選手が100%を出せるような連係、コミュニケーションを取りたいなと思っています」

── 2021年10月のオーストラリア代表A戦では、CTBディラン・ライリー(埼玉ワイルドナイツ)と初めてコンビを組みました。

「初めてコンビを組みましたが、僕も『マジか!』と思ったくらい馴染んでいたというか、フィットしていましたね。ディランはほんと、すごいですよ! タックルレンジは広いし、足も速い。ディランが変なストレスを感じないようにこちらがプレーしておけば、あとは彼が勝手にやってくれます(笑)」

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