「ポスト福岡堅樹」の有力候補たち。その筆頭は名WTBを父に持つサラブレッド (3ページ目)

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 常翔学園高時代、坂道ダッシュを繰り返したことで一気に足が速くなったという。当時の15人制代表の指揮官だったエディー・ジョーンズHCからもスピードを高く評価されて、同志社大3年の時には初キャップを獲得している。

 高校時代70kgほどだった体重を88kgまで増やしつつも、武器であるスピードは落とすことなくフィジカルの強化も成功。183cmの身長を生かし、ハイボールにも強さを発揮する。セブンズに求められる能力を兼ね備えている逸材だ。

 東京五輪が終わるまで、松井はセブンズに専念している。五輪メダル獲得を置き土産に、来季から始まる新リーグで活躍すれば、2023年W杯には十分に間に合うはずだ。

 そしてセブンズにもうひとり、「ポスト福岡」候補として可能性を秘めた選手がいる。大学生で唯一、東京五輪の7人制日本代表候補に選ばれている明治大4年のWTB石田吉平(21歳)だ。

 常翔学園時代の石田は、身長167cmと小柄ながらFWのNo.8(ナンバーエイト)として活躍していた。同時に高速ステップを武器にトライも量産し、ユース五輪でも銅メダル獲得に貢献した逸材である。

 スピード、ステップ、そしてジャッカルも得意で、接点での激しいプレーもできる。石田は「自分の強みはランとステップで、世界でも通用する。東京五輪はラグビー選手のキャリアの中で1度しかない。夢の舞台に立ちたい!」と、今はセブンズに集中している。

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 身長171cmながら圧倒的なスピードで南アフリカ代表の2019年W杯優勝に貢献したWTBチェスリン・コルビを彷彿とさせるプレーが石田の持ち味。ファンからも「和製コルビ」とも呼ばれている。もしかしたら福岡のプレースタイルに一番近いのは石田かもしれない。15人制ラグビーの日本代表でもはやく見てみたい選手だ。

 もちろん、日本代表でWTBの定位置を確保することは簡単な道のりではない。だが、今回紹介した5人が己の武器を磨いていけば、桜のジャージーを着て2023年フランスW杯でトライを挙げる可能性は十分にある。

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