サンウルブズ、刀を振り回す「剣豪」のラグビーで、ついに今季初勝利 (4ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

 もっとも、この日の試合メンバーで、先日発表された日本代表第1次ラグビーW杯スコッドに名前があるのは23人中15人に過ぎない。パーカーや、この日3トライのホセア・サウマキは入っていない。日本代表のジョセフHCが、サンウルブズの指揮を兼任することになったのは、代表につながるチーム戦略、システム面で効率化を図るためだった。

 だが、ケガ人続出に加え、契約マターの関係もあるのだろう。ここまで試合メンバーを固定させることはほとんどできなかった。この日はうまくいったが、組織ディフェンスやアタックの精度、ラインアウトの連係など、システムを磨き上げるまでには至っていない。

 日本代表は6月、イタリア代表と2試合、ジョージア代表と1試合を予定している。代表の準備に専念するため、ジョセフHCは次のスーパーラグビーの試合のあと、サンウルブズを離れて日本に戻ることになっている。
 
 日本代表の目標は当然、3戦全勝となる。勝負のカギはスクラム、ラインアウト、組織ディフェンスが握ることになる。ジョセフHCはこう言った。

「ゲームの運び方、戦い方は、サンウルブズと日本代表を兼務しているので、同時にやっていけている。選手の強化と関係を深めることもできている」

 確かに互いの信頼関係は強まっているだろう。正しい準備の仕方、「勝ち方」を思い出せたのは大きい。初勝利で日本代表戦に向けて少しは弾みがついた。何といっても、メディア露出、ラグビー人気の盛り上げにもプラスになっただろう。
 
 ただ、高いレベルでのシステムの構築には時間がかかる。『スイング・ザ・ソード』。それを、サンウルブズの残りの試合のほか、日本代表の試合でも実践できるかどうか。これからが本当の勝負である。

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