創部100年、低迷する早稲田大ラグビー部を救うのは「この男」か?

  • 斉藤健仁●取材・文・撮影 text & photo by Saito Kenji

 今年で創部100周年を迎える「アカクロジャージー」の名門が、春からもがき苦しんでいる。

 昨年、かつてのカリスマ主将だった37歳の青年監督・山下大悟が率いた早稲田大は、関東大学対抗戦で5勝2敗の2位タイ。しかし、大学選手権では東海大に力負けしてベスト8進出を果たせず、またも正月を越えないうちにシーズンを終えた。

名門・早稲田大で攻撃の核を担う3年生の齋藤直人名門・早稲田大で攻撃の核を担う3年生の齋藤直人 そしてこのオフ、2シーズン指揮を執った山下監督が退任。低迷の続く早稲田大を復活させるため、48歳の相良南海夫(さがら・なみお)に白羽の矢が立った。相楽監督は2000年度から2007年度まで三菱重工相模原ラグビー部で監督を務めた人物。早稲田大は心機一転、再出発することになった。

 迎えた関東大学ラグビーの春季大会。「王者奪還を目指す早稲田大がどこまで戦うことができるのか」。注目された初戦は、日体大に22-32で敗れて黒星発進となる。さらに5月5日、2戦目の筑波大戦も21-38で敗戦。早稲田大時代に主将経験もある相良監督は、「自分たちで(試合を)放棄してしまった。試合だけミスをしないでやろうというのは無理。意識の甘さ、そこに尽きる」と唇を噛んだ。

 ただ、早稲田大学の戦力を見ると、U20日本代表合宿に参加しているNo.8(ナンバーエイト)下川甲嗣(かんじ/2年)やFB(フルバック)古賀由教(2年)、さらには関東学生代表に選ばれていたCTB(センター)中野将伍(3年)がメンバーから外れている。戦力が万全に整っていないことも、本調子ではない理由のひとつだろう。

 そしてもうひとり、早稲田に欠かせない名前もメンバー表になかった。それは、チームの司令塔であるSH(スクラムハーフ)齋藤直人(3年)である。相良監督が「すべてに期待している」と全幅の信頼を置く齋藤は、4月に日本代表に準ずるチームの「JAPAN A」に大学3年生では唯一選出。さらにニュージーランド遠征にも帯同したため、今回はコンディションを配慮してメンバーから外れた。

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