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ラグビーW杯、新国立での開催断念に「災い転じて福」はあるか? (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • photo by Kyodo News

 新国立使用断念は、正直、ショックである。一ラグビーファンとして、話題の新しいスタジアムで、記念すべきW杯をやってほしかった。しかし、総工費高騰による建設計画の見直しというニュースが注目されるにつれ、いつの間にかラグビーが「悪者」扱いされかけていた。オリンピック同様、ラグビーW杯だって、みんなに祝福されて開催したい。そういった意味で、この決定はやむを得ないのかもしれない。

 日本選手権優勝のヤマハ発動機の清宮克幸監督は「もう前向きに考えるしかないでしょ」と言った。いつもポジティブだ。「(ラグビー界にとっては)どれほど痛いか......。でも決まってしまったことはしょうがない。これをプラスにしていくしかありません」
 
 だいたい、なんでこのような事態になってしまったのか。キーワードは「説明責任」と「責任の所在」である。一連の騒動を取材して感じたのは、なぜこれほど建設費が高騰したのか、誰もきちんと説明できない、説明しようともしない。また、誰も責任を取ろうとせず、責任の所在は曖昧なままだった。ひと言で言えば、プロジェクト・マネジメントが機能してこなかったのである。

 整理すると、2009年7月、2019年ラグビーW杯開催が日本に決定した。招致の際、W杯と新国立競技場はリンクしていなかった。2011年2月、W杯の際、国立を8万人収容に改築するという超党派による議員連盟の決議が出た。その後、東京都が2020年五輪への再立候補を表明し、この新国立建設案が具体化されていった。

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