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【ラグビー】大逆転勝利の筑波大。王者・帝京大にどう挑むか? (3ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 高見博樹●写真 photo by Takami Hiroki

 もうひとつの準決勝では、王者・帝京大が慶応に53-10で順当勝ちした。前半は相手の気迫のスクラム、ブレイクダウンに気圧されたが、終わってみれば、この大勝だった。
 
 やはり個々のフィジカルと基本スキル、スピード、パワーが違った。帝京大の流大(ながれ・ゆたか)主将は「慶応が激しく、自分たちのひ弱な部分が出てしまったのかなと思います」と反省した。

 この試合で、精神的支柱のセンター権裕人(こん・ゆいん)がケガから1年ぶりに復帰したことは好材料だろう。

 秋の対抗戦(31-10)では、筑波大にブレイクダウンで苦しんだ。同主将は言う。「筑波大はブレイクダウンに強みを持っているので、そこで真っ向勝負を挑んでいきたい。セットプレーを安定させ、FW、バックスともにボールを動かすダイナミックなラグビーをやり抜きたい」

 6連覇の快挙まであと1つ。「歴代の先輩が築きあげてきた記録、またそれ以前の先輩の方が積み上げてきた文化、歴史によって、6連覇に挑戦できることを幸せに感じます」と言葉を足した。

 帝京大の岩出雅之監督はこう言った。

「最後、シーズンを通してやってきた厳しさを出したい。学生がこの1年間、根気よく、ラグビーというものにぶつかって積み上げてきたものを、集中して全力で出してくれればいいと思います」
 
 これまでの戦いぶりを見る限り、帝京大の優位は動かない。ただ勝負に絶対は、ない。筑波大としては、ブレイクダウン勝負は当然として、スクラム、ラインアウトの奮起が接戦に持ち込むための最低条件。
 
 その上で、速い出足の、しつこいタックルで帝京大の選手が加速する前に止め、前に、前にと攻めていかなければ勝機はなかろう。さらには、キックでエリアをどうとるのか。迫力ある帝京大のカウンター攻撃をどう止めるのか、キックチェイスの確実さもカギを握る。ある程度のボール・ポゼッション(保持)を得なければ、まずロースコアの展開には持ち込めない。

 決勝は10日午後2時30分、東京・味の素スタジアムでキックオフされる。帝京大の6連覇が濃厚ながら、大学シーズンの最後を飾る好勝負を期待したい。

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