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【ラグビー】大逆転勝利の筑波大。王者・帝京大にどう挑むか? (2ページ目)

  • 松瀬 学●文 text by Matsuse Manabu
  • 高見博樹●写真 photo by Takami Hiroki

「スクラムは押されて、悔しかった。でも最後まで必死に走った。(後半は)ラックの逆サイドの内側が空くと話し合っていた。狙ってのトライです。気持ちよかった」
 
 筑波大は前半、ラックの順目の外側、外側と攻めていたから、それは終盤への布石だったかもしれない。筑波大の古川拓生監督は珍しく、興奮気味だった。

「最大の勝因は、トータルしてのFWの集中力というか、本当の相手の強さを絶対的には出させないところだったと思います。特にうちのフロントローはスクラムではやられたけれど、総合的なスキルを見れば、運動量、メンタルを含めて、素晴らしいユニットです」
 
 確かにスクラムやラインアウトの劣勢は苦戦を招いた。意表をつく東海大のDG(ドロップゴール)などでリードを許した。だが、よく見れば、相手の武器のモールをあまり組ませず、接点でもよく我慢した。ハーフタイムで、ボールキャリアー(保持者)、タックルの出足を修正し、後半はブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)でうまく対抗した。

 あきらめない。最後まで粘ることは、実は前夜、ミーティングで確認したことでもあった。大学選手権の最近3度の東海大戦はいずれも、最後までもつれたものだった。その3試合のラスト20分の映像を見て、集中力の大切さを肝に銘じていたそうだ。
 
 古川監督は言う。「80分間、最後まで、自分を信じてやりきってくれたことが、大逆転につながった」と。

 筑波大は今季けが人が続出し、4連敗スタートで対抗戦は5位に沈んだ。でも代わりの選手が成長し、この日のスタメンでも4人の1年生が名前を連ねた。主将のスタンドオフ松下真七郎は「ウォーターボーイ」を務めていた。
 
 エースのフルバック山沢拓也もけがで決勝は出場が厳しい。でも、と古川監督は続ける。「チームとしては成長している。集中力もどんどん高まってきた。さらなる選手の成長を信じたいし、期待したい」
 
 あまりボールを持てなかった日本代表のウイング福岡堅樹(けんき)は言い切った。「決勝では、もっと自分の走りを見せられるよう頑張りたい」

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