【ウィルチェアーラグビー】アジアパラで金。成功しているチームの活性化 (2ページ目)
競技歴1年の乗松聖矢は国際大会の決勝で、初のスタメンを勝ち取った。「日に日に(コート上での)視野が広がっていくのを感じた。いまラグビーが楽しくて仕方がない」と話す。初めて日の丸を背負った大学生の菅野元揮は「自分で試合の流れを読んだり、他のプレーヤーをコントロールしたりできるようになった」と実感を口にし、「このまま成長し続け、6年後の東京パラリンピックにピークを持っていきたい」と続けた。
決勝では、一度も韓国にリードを許さず、序盤からエースの池崎大輔、パラリンピック3度出場のベテラン仲里進が韓国に襲いかかり、ボールの所有権を奪うと、トランジション(切り返し)の速い乗松にボールを回す形で得点を重ねた。
第2ピリオド、エースの池崎に代わり、同じ障害クラスの選手がコートに入った。まだあどけなさの残るチーム最年少の18歳、和知拓海だ。
「落ち着いて走れ」と、中堅の山口貴久が声をかける。
「韓国の声援がすごくて、国際大会ってこんなアウェイがあるんだなとびっくりしました」と言う和知を山口がリラックスさせ、コミュニケーションを密に取り、セットのポジションを確認した。だが、それでも和知は思うようにパスをつなげられなかった。その後、メンバーチェンジで入ったベテラン庄子健らのフォローで冷静さを取り戻すと、着実に得点を重ね、終わってみれば、今大会の「得点王」となる128点を稼ぎ出す活躍を見せ、日本の優勝に大きく貢献した。
ヘッドコーチを務めた涌井俊裕は、今大会最も成長した選手として、その和知の名前を挙げる。
「もともとガッツがある選手だとは思っていたが、大会前は言えなかった自分の意見を言えるようになった」
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