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【ラグビー】国立大初の決勝へ。筑波大快進撃の原動力とは? (2ページ目)

  • 松瀬学●取材・文 text by Matsuse Manabu
  • 井田新輔●撮影 photo by Ida Shinsuke

「僕(のチャージ)は下手くそ。試合で(決まったの)は初めてです。ただ、うちはチャージのうまいやつがそろっています。彼らを真似して、なるべく早くスタートして、相手の懐(ふところ)に入るようにしています」

 劇的勝利。創部初の決勝進出という快挙に、いつも冷静な古川拓生監督も珍しく興奮気味だった。

「うれしかったです。(選手たちが)すごかったと思います。トライを取られた後のキックオフのチャージ。ああいうところにチームの成長を感じます」

 チャージもディフェンスのひとつである。そのディフェンスからの切り返しこそが、筑波大の伝統である。体のサイズが私大の強豪より小さかったため、パワーで大量点を取ることはできない。ならば、ロースコアの勝負に持ち込む。タックルを磨き、ディフェンスを堅くするのである。

 3シーズン前は惜敗が続いた。でも昨年は、初めて大学選手権ベスト4に進んだ。今季は対抗戦で明治大に敗れ、まとまりの大事さを学んだ。負けて学び、勝って自信を膨らませてきた。

 古川監督が続ける。
「とくに、負けて自分たちのラグビーに戻れるようになった。それはディフェンスの切り返し。(トライを)取られたことに対して、みんながものすごく話をするんです」

 私大に比べて、大学からの支援はそう恵まれてはいない。ラグビー部員の寮はない。部員数は74人。ただ、ラグビー推薦枠が毎年5人あり、いまや高校の超トップクラスが筑波大にも集まるようになった。

 古川監督は高校での主将経験者を熱心に勧誘してきた。さらに一般入試でも「ラグビーと勉強の両立」にあこがれる学生が全国から集まるようになった。不況もあってだろう、学費の安い国立大、かつ教員になるための授業が充実していることも強みとなっている。

 いわば推薦組と一般入試組が切磋琢磨する。基本は学生の自主性を重んじる。自分で考え、強みを磨く。試合の後は徹底してビデオで研究する。とくにディフェンス。古川監督は「うまくいかなかったことがあると、とことん原因を突き詰める雰囲気がある。それが筑波の色だと思います。今の選手だからできるラグビーです」と言い切る。

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